雑想 アカデミアの風景

科学と教育を考える研究者ブログ

年功序列は正しいか

白髪の老人に敬意を払わない民族は皆無であると言われている。つまり、年功を認めない文化はこの世にはないということで、年配者に一定の礼節もって接することは人類の共通因子であるようだ。年功序列は英語ではseniority systemといって、欧米でもそれなりに機能してきた仕組みである。

大学は年功序列的な雰囲気がいまだに残る職場で、私はこれを悪いこととは思っていない。講義などは年配の教員の方が若手よりはるかに上手いのが普通である。それは単に場数の問題ではなく、年功としか言いようのないセンスで、誰でも年齢に至ればある程度は身についてくるものだ。そもそも「先生」とは先に生まれた人のことを言うのであり、教育現場では老害にならない程度に長老がいた方がなにかと組織が安定する。

日本では年功序列が崩壊したなどと言う人がいるが、年功を認めることは人類の本能のようなもので、ことに儒教道教が発達した東洋ではそれを完全に無視した制度が持続する見込みはないと私は思っている。