雑想 アカデミアの風景

科学と教育を考える研究者ブログ

公正性の傍らで

都立高校の選抜で英語スピーキングテストの公平性がまだ問題となっているようだ。欠席者の扱いに関して若干疑問が残ったのは否めないが、その他はおおむねうまく機能するのではないかと私は思う。実際の試験では生徒が音声を録音したものをフィリピンで採点したようである。英語はフィリピンの公用語であり、大いに信頼して教育に活用すればよいと思う。なぜ信頼できないと思う人がいるのかよくわからないけれども、日本人が採点するよりはるかに安心ではないか。フィリピンが選ばれたのはむしろ人件費の問題だろう。

今回のテストの配点はきわめて低いので、採点のゆれによる影響は十分小さいと思われる。むしろ、高校入試の場合は調査書の不確実性の方が大きい。従来から日本の学校では一般入試のウェイトを下げてきており、その傾向は今後も続くのだろう。多くの中学生や高校生は推薦入試で進学し、小論文や面接やらでさらに基準があいまいな印象評価にさらされていくのが現実である。教育関係者はしばしば自分たちの矛盾に気付かない。部分的な無謬性にこだわりながら、一方でああだこうだと主観を入れたがるのが人間の限界であり、教育改革の常でもある。

なお、今回のスピーキングテストのイラスト問題は英検準一級の二次試験と同じ形式であり、あれが難なくできれば日本人としては上出来と言えると思う。